私はフレンチレストランで修業時代を過ごしました。
厳しい世界でしたが、師や先輩に恵まれどんどん料理の世界にのめり込みました。
しかし、クローズキッチンの中でお客様の顔を見る機会も少なく、
また、当時はフレンチやイタリアンレストランは高級店で気軽に行けるというお店ではなく、 年に何度か、それもかしこまった雰囲気の中で食べるような場所でした。
そんな時に出会った「居酒屋」という世界。
笑顔と笑い声が溢れ、お客様だけでなく働いている人たちも明るく元気で楽しそうでした。
何よりお客様との距離が近く、とても親近感の湧く雰囲気でした。
「自分の培ってきた技術や知識を活かして、フレンチやイタリアンでこういうお店ができないかな・・・」
私はいつの間にかそんな夢を描きはじめました。
当時は、まだ福岡には「バル文化」が根付いていない時代です。
そんな私が居酒屋業界に飛び込んで得た大きな学びは2つ
「お皿の向こう側にお客様の笑顔を思い浮かべる」ということ
私たち料理人はお皿の中に世界があると思いがちです。ですから一皿を作り上げることに全身全霊を注ぎます。
しかし、それはお客様の喜ぶ顔を想像できないとただの腕自慢、自己満足となってしまいます。
そのことを胸に刻み、日々料理と向き合っています。
そして二つ目は
「自分にとって大切な人にすることをお客様にしよう」ということです。
お店に来てくださるお客様のほとんどは知らない方ばかりです。
繁忙時には忙しいからと、ついつい仕事が雑になりがちです。
そんな時、目の前のお客様が自分の家族、友人、恋人、・・・大切な人だったらどうでしょうか
「料理は口に合うかな」「店内は暑くないかな」「飲み物はまだ入っているかな」・・・と
ありとあらゆる心配をするでしょう。それこそが「おもてなし」であり「ホスピタリティ」の原点だと思っています。
そんな心が溢れるお店を創り、スタッフを育て、飲食を通じ沢山の笑顔と出会いたい
そんな思いを持って、この仕事に取り組んでいます。
TAKETWO 代表社員 齋藤 剛秀
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